アジア最大規模の情報・通信・エレクトロニクス関連の総合展示会「CEATEC
JAPAN 2008」が9月30日から10月4日までの5日間、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された。主催は、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、電子情報技術産業協会(JEITA)、コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の3団体。
5日間に、804社・団体が3121のブースを使って出展。そのうち、海外からの出展は、27カ国・地域から289社・団体だった。5日間の総登録来場者数は19万6630人。次回の「CEATEC
JAPAN 2009」は、2009年10月6日〜10月10日まで、幕張メッセで開催予定。
CEATEC 2008におけるブルーレイ(Blu-ray Disc:BD)システムを中心に、出展内容をレポートする。 ブルーレイレコーダは、ソニー、パナソニック、シャープが国内市場でつばぜり合いを演じて、市場競争が始まり、その結果エントリーモデルの価格は下がってきており、10万円前後の機種が目立つようになった。その状況がCEATEC
JAPANにも表れていた。
BDは、2002年2月に日本、欧州、韓国の主な電機機器メーカー9社が提唱した、デジタルハイビジョン放送を高画質で長時間記録できる光ディスクの記録フォーマット。現在、ブルーレイディスクフォーマットの規格策定・普及を目的に設立された企業団体「Blu-ray
Disc Association(BDA)」として、189社が賛同している。
10月1日から松下電器産業(株)から「パナソニック(株)」(英文表記:Panasonic
Corporation)に社名を変更した同社のブースでは、「Life Wall(ライフウォール)」など、ディスプレイ操作の新たなユーザーインタフェースを提案・デモした。150V型のプラズマテレビも参考出品した。
Life Wallについては、今年1月の2008 International CESにおいて、パナソニックAVCネットワークス(Panasonic
AVC Networks:PAVC)社の社長でパナソニック専務を務める坂本俊弘氏が、開幕日の1月7日に、午前8時半から、ベネチアン・ホテルのPalazzo
Ballroomで実施された、オープニングの基調講演のなかで発表した。 Life
Wallは、2015年以降を見据えた、パナソニックの未来のリビング提案の一つ。壁面にプロジェクターを使って、横長の継ぎ目ないディスプレイにした。ディスプレイに表示させる写真・動画をジェスチャーで直感的に操作することができる。 壁面の上部には、カメラが取り付けられており、非接触型の動作検知技術により、リモコンを使わず、手の動きだけで、そこに映し出されるコンテンツや情報が操作できる。個人が認識されることで、その人に応じてコンテンツや情報のカスタマイズができ、ビデオクリップをつかんで、別の場所に映したり、写真・動画の移動・拡大・縮小が自在にできる。 Life
Wallは、家の内外をつなぐ情報ハブの役割を果たし、ほぼ実物大にさまざまなコンテンツ、情景を高画質に映し出せるだけでなく、安全、安心、健康、通信といった、生活に密着する統合アプリケーションを想定している。
ライフウォールに似た直感的ユーザーインタフェースとして、人間の動きでディスプレイ上の画像を操作する「空間ハンドジェスチャー・ユーザーインタフェース」、リモコンの数字キーの代わりに平面的なタッチパッドが付いたユーザーインタフェースを採用した「イージータッチリモコン」も出展された。
ソニーのブースでは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、9月18日からプレイステーション 3(PS3)向けに開始したオンライン・エンタテインメント・サービス「Life
with PlayStation」についてもプロモーションした。
このサービスは、Cellコンピューティングを採用したPS3の持つパワーと描画能力を活用し、PS3ならではのライフスタイル提案を図る。最初のサービス「ライブチャンネル」では、「地球という場所」「今という時間」をテーに、宇宙から見た地球を再現したインタフェース上で、雲の画像や世界60都市の天気情報、Google
ニュースによるニュース、各都市のライブカメラの情報などを表示する。
世界中の人びとがソフトウェアをダウンロードして走らせると、一団となった世界最大級のスーパーコンピュータを形成するという、米スタンフォード大学が提唱する分散コンピューティング・プロジェクト「Folding@home」(フォールディング・ホーム)にも対応。アプリケーションをアップデートすることでLife
with PlayStationの利用ができ、Life with PlayStation内の機能としてインタフェースが変更され、より高度なたんぱく質シミュレーション、PS3独自のランキングシステムなどを追加できる。
このほか、ソニーは、10月4日に発売した11.1型ワイド液晶搭載のモバイルPC「Type T」も展示した。上位機種にはBDドライブを搭載。BDドライブ搭載したモデルでも最軽量モデルは1.25kg。バッテリー使用時間も最長13時間と発表されている。4GBメモリと160GBのHDDを搭載し、CPUに「Core
2 Duo SU9300」を採用した「VGN-TT70B」の実勢価格は約30万円。
三菱電機は、CEATEC
JAPAN 2008で、パブリックからパーソナルまで、デジタルAV関連を中心とする最新の製品と先端技術を出展した。
「人が『集まる』・『楽しむ』・『体験する』」をテーマに、「デジタルサイネージゾーン」、「個別展示ゾーン」、「TOPICSゾーン」の3つのゾーンでブースを構成。
デジタルサイネージゾーンでは、ハイブリッド型映像情報配信システムを活用した映像装置への配信デモを実施。個別展示ゾーンでは、レーザーTVをはじめとした映像関連製品を展示。TOPICSゾーンでは、次世代ホームネットワークなどの製品・技術を紹介した。
ブルーレイ関連では、自由にレイアウトできる46V型フルハイビジョン液晶テレビ「REAL」(型名:LCD-46LF2000)と、同テレビのステーション部と同形状のデザインを採用したブルーレイディスクレコーダー「REALブルーレイ」(型名:DVR-BF2000)を出展。11月21日発売予定で、実売価格はそれぞれ約50万円、約18万円。 REALは、液晶モニター部とチューナーなどのステーション部を分離し、映像信号などの伝送を無線にし、自由にレイアウトできるようにしている。液晶モニター部は、幅109.0×高さ68.5×奥行き4.0〜4.4cmの超薄型。重さは22.7kg。
ステーション部は、幅18.0×高さ18.0×奥行き29.8cmのキューブ型をしており、家具・調度品と組み合わせがしやすいデザイン。地上/BS/110度CSデジタルチューナーと、アナログチューナーを搭載。入力端子はHDMIが4系統、D4入力が2系統、ビデオ入力(コンポジットまたはS映像)が3系統、アナログRGB(D-Sub15ピン)が1系統。重さは5.3kg。 REALブルーレイは、液晶テレビのステーション部と同形状のデザインで、セットで利用することで、手元でディスク入れ替えができる。地上アナログチューナー(1基)と地上・BS・110度CSデジタルチューナー(2基)を搭載。HDD容量は500GB、地上デジタル放送を約63時間録画できる。本体サイズは幅18.0×高さ18.0×奥行き29.8cm、重さは6.0kg。
三菱電機のブースで話題となったのは、国内の展示会では初出展となった、レーザーTV。米国で今秋の発売を予定している。こけは、レーザーを光源にしたリアプロジェクションテレビの65インチ型。通常の液晶テレビの約2倍という色再現範囲の広さを持つ。RGBの3色のレーザー光線と光学設計技術、独自のカラーマネジメント技術を組み合わせ、彩度の高い原色表示と自然な色再現を実現した。
動画用拡張色空間の国際標準として「IEC (International Electrotechnical Commission/国際電気標準会議)」で承認・発行された「xvYCC」に対応。現行放送の色空間規格より約1.8倍の色彩が表現できる。厚さは約25センチで、壁掛けも可能。光学系を小口径化した「超広角光学エンジン」や、小型のレーザー駆動電源などを採用している。新開発の小型冷却装置により、レーザー光源の寿命は3万時間以上としている。3D(立体)動画表示にも対応し、専用めがねをかければ動画を立体的に見られる。
日立製作所は、CEATEC
JAPAN 2008において、2007年12月に発売した最薄部35mmの薄型液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」を中心に、記録メディアに8cm
ブルーレイディスク(BD)を採用したフルHDビデオカメラ「DZ-BD10H」、 日立マクセル製の320GB iVDRメディア(著作権保護技術を搭載したカセット型リムーバブルHDD)を出展。併せて、最薄部15mmの37V型液晶テレビとともに、独自の信号処理技術を用いることで、さまざまな解像度の映像を最適な倍率で高精細化する超解像技術を参考展示した。
このうちBD関連製品のDZ-BD10Hは、2008年1月に発表した「DZ-BD9H」よりも約20%の小型化を実現。同機種の上位モデルになる。8月9日に発売した。記録メディアは8cm
BD-R/REのほか、DVD-R/RW/RAM、30GB HDD、SD/SDHCメモリーカード。
イメージセンサーについは、業界最高水準の総画素数約700万画素の1/2.7型CMOSに更新。動画有効画素数は約467万画素、静止画有効画素数は約622万画素で、2880×1620ドットから、フルHD(1920×1080ドット)の映像を生成する。オーバーサンプリングすることで解像感を向上させ、センサー感度は従来比で約3倍に向上、最低被写体照度は5ルクスとしている。 小型化により、ハードディスクドライブ(HDD)は従来機の60GBから30GBに縮小している。これを補うため、SD/SDHCカードへの動画記録に対応。
HDDにはフルハイビジョン画質で約4時間20分、別売の32GB SDHCメモリーカードには約4時間45分、8cm BDには約1時間の記録可能。
HDD、SD/SDHCカードへの記録方式は、日立製品では初めてAVCHD(Advanced Video Codec
High Definition)を採用している。AVCHDは、パナソニックとソニーが基本仕様を策定したハイビジョン動画記録フォーマット。8cm
DVDでも十分な高画質の動画が撮影できるよう、高効率符号化が可能なH.264/MPEG-4 AVC方式とともに、音声にドルビーデジタル
(AC-3:Audio Code number 3)方式、多重化にMPEG2-TSをそれぞれ採用している。BDへの記録方式は、これまでの機種と同様、MPEG-4
AVC/H.264でBD-RE Ver.3.0とBD-R Ver.2.0に準拠する。 総画素数約700万画素CMOS撮像素子を搭載し、日立独自の映像処理回路「Picture
Master Full HD」と組み合わせ、1920×1080画素のフルハイビジョン映像の2.25倍の画素の信号からオーバーサンプリングして、フルハイビジョン映像を生成し、解像感が高く、高感度な映像記録を実現している。
動画だけでなく、静止画も手ブレの少ない撮影ができる、光学式手ブレ補正機能搭載フルハイビジョン対応レンズを採用。8cm
BD/DVDドライブの薄型化や基板レイアウトの見直しなどにより、従来比約20%の小型化を図った。
逆光時に、顔が暗くならないよう自動的に明るさを補正したり、顔に優先的にピントを合わせる、顔認識技術「顔ピタ」機能も装備する。
イメージセンサーは、業界最高水準という総画素数約700万画素の1/2.7型CMOSを搭載。動画有効画素数は約467万画素、静止画有効画素数は約622万画素で、2,880×1,620ドットの情報から、フルHD(1920×1080ドット)の映像を作成。オーバーサンプリングすることで解像感を向上するともに、センサー感度を従来比で約3倍に向上し、最低被写体照度5ルクスを実現した。
日立は、2000年に世界初のDVDカメラを、2006年にDVDドライブとHDDを搭載した世界初のハイブリッドカメラを商品化。2007年には世界初のBDカメラを発売している。
太陽誘電は、CEATEC
JAPAN 2008で、世界初の4倍速記録メディア「LTH(Low To High)BD-R」を展示・紹介していた。日本製の光ディスク開発・製造で実績のある太陽誘電らしく、この4倍速の「LTH
BD-R」は、CD-RやDVD-Rの開発製造で培った300件以上の同社の特許技術が生み出した有機色素系記録メディア。優れた記録再生を実現するために、その「材料」「記録技術」「生産設備」の3つの要素を高めることで、高品質、互換性を実現可能とした。記録層に無機系の素材を使用する「HTL(High
To Low) TYPE」BD-Rが多い中で、生産コストの軽減にも繋がる有機色素系という材料への拘り、有機色素系を使うことで起きるレーザー光を当てた時の発熱等への対応を行うナノレベルでのシミュレーション技術とそれを活かした記録技術、さらには、その記録技術を実現するための設計をシビアに製造へと転化できる高精度な生産設備と生産管理。まさしく、積み重ねてきた記録メディア開発の歴史がこの高速化に対応した4倍速 LTH
BD-Rを産んだといえる。特に品質面では、新開発のLTH有機色素を記録層に使用することで高速記録に対応し、また、有機色素系記録メディアならではの低価格なディスク製造が可能となった。さらに、記録メディアで重要なBDレコーダーとの互換性についても2倍速のBD-Rと同様に、ハードメーカとの連携により確保していく。今後、BD-_Rディスクでも進行する光ディスクが辿った市場ニーズへの対応の動き=<高速化>と<低価格化>は、太陽誘電においては既に準備が調ったように見えた。
Blu-ray
Disc Association(BDA)のブース(ブルーレイパビリオン)は比較的来場者数が少なかったものの、各社のブルーレイプレイヤー、ブルーレイレコーダーが一堂に並べられ、洋画、邦画、アニメなど、ブルーレイ対応ソフトウェア・タイトルを再生・デモした。
そのなかで、凸版印刷はブルーレイディスク(BD)の新機能新規格「Blu-ray Disc Profile 2.0(BD-LIVE)」を使い、インターネット経由でコンテンツを配信する広告ソリューションをプロモートした。デモでは、体験版BDメディア「ひだまりうむ」を使い、広告配信の様子をデモした。映像本編の合間に広告映像を配信することができ、視聴者データを取得することで、親和性の高い広告映像を配信することができる。 BD-LIVEは、BDプレイヤー向けコンテンツ配信機能を規定しており、対応BDプレイヤーは、BDメディアに収録されていないコンテンツでも、インターネット経由で取得して再生できる。コンテンツ提供者が、サーバーにコンテンツを登録すれば、その都度更新された広告や特典映像の配信ができる。視聴者の属性や地域などに応じて、配信コンテンツを変えることもできる。
動画コンテンツだけでなく、対戦型ゲーム、チャットといったインタラクティブ・コンテンツの配信も可能でき、アンケート調査や、視聴ログのデータ分析など、マーケティングデータの収集もできる。
今後、広告用映像などの企画・制作、BDメディア用データ編集、BDメディア製造などのサービスをパッケージ化し、企業向けに提供していく計画。
いずれにしても、今回の「CEATEC JAPAN 2008」におけるブルーレイディスクに関する展示・デモなどでは、フォーマット策定が一段落したためか、記録時間の長時間化・更なる画質向上などの付加価値での競争に移っており、多機能・実売を意識した製品が多く出展されていた。今後、さらに市場での本格的な販売合戦が引き続き展開されると思われる。